労働法トピックス
2017/03/27 労働法トピックス 雇用契約
インターネット利用状況の監視
従業員が会社のパソコン・サーバーを使用してインターネットを利用する場合に,会社がその利用状況を監視・点検することは許されるのでしょうか。従業員がどのようなメールのやり取りをしているか等を監視することが,労働者のプライバシーとの関係で問題になります。
この点に関し,そもそも会社が,従業員がインターネット等の通信機器を私的に利用することを禁止することはできるでしょうか。
会社が通信機器の使用規程を定めている場合,その規程の中で私的利用を禁止することはできます。禁止規定がない場合であっても,労働時間中,従業員は職務専念義務を負っているので,私用の通信は禁止されるのが原則です。但し,勤務に付随した軽微な私的使用は,労働生活に伴うものとして社会通念上許容されることがありうるとした裁判例も存在しますので,注意が必要です。
では,会社が,インターネットの利用状況について,日常的に監視したり,問題が発生した場合に点検したりできるでしょうか。
会社が,通信機器の使用規程において,インターネットの利用状況を日常的に監視すること,及び問題が発生した場合に点検することを規定している場合には,会社の通信機器は労働者のプライバシーが保護されない機器であるとの前提で利用されることになるので,監視及び点検は可能となります。
そのような使用規程がない場合であっても,会社が,企業秩序違反行為の調査に必要な場合など,合理的な必要性があり,その手段が社会的に相当である場合には,監視及び点検も適法とされます。このような理解から,労働者のメールを会社が点検した事案において,調査行為は適法であるとした裁判例があります。
なお,インターネットの利用状況についての調査は,個人情報保護法による規律も受けます。ですので,会社は,調査により取得する情報の利用目的を特定し,これを公表・通知することが必要です。
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