トピックス
2020/06/12 事業再生トピックス 会社経営者の債務整理
経営者保証ガイドラインに基づく債務整理の概要
<対象者>
経営者保証ガイドライン(以下「経営者保証GL」といいます。)に基づく債務整理の対象者は、主に中小企業・小規模事業者の経営者ですが、この企業規模に関しては必ずしも中小企業基本法上の中小企業等に限られません。また、個人事業主も含まれます。
注意が必要なのは、主債務者及び保証人の双方が、弁済について誠実であったかどうか、財産状況等について適時適切に開示していたかどうかです。経営者保証GLに基づく債務整理は各金融機関からの合意を得て成立するため、長期間滞納して弁済について誠実な協議をしてこなかったような場合や、財産状況について虚偽があった場合等は、経営者保証GLに基づく債務整理を進めるのが困難となるおそれがあります。
<対象となる債権の範囲>
経営者保証GLに基づく債務整理は、日本商工会議所と全国銀行協会が共同し、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的自律的な準則として、策定・公表されたものです。
このため、あらゆる債権が債務整理の対象となる裁判所の手続(破産・個人再生)とは異なり、原則的には金融機関の債権が対象となります。ただし、例外的にではありますが、リース会社やカードローン等の保証人(経営者)固有の債権も対象とされることもあります。
経営者保証GLに基づく債務整理が成立するには、全ての債権者の合意が必要になります。このため、経営者保証GLに基づく債務整理について反対する債権者がいる場合には、経営者保証GLに基づく債務整理の成立が困難となるおそれがありますので注意を要します(額が僅少な場合や弁済計画に影響を与えない場合には当該債権者を除外して成立させることもあります。)。
<免除してもらえる債務の範囲>
残存させることのできる資産(自由財産+インセンティブ資産)を除く資産で債務を弁済し、その後に残った残額を免除してもらうことになります。
<残存させることができる資産の範囲>
経営者保証GLに基づく債務整理の大きなメリットは、残存資産の範囲が破産の場合に比して柔軟であることです。
破産手続において残存させることができる資産(以下「残存資産」といいます。)は、自由財産とされるものに限定されますが、経営者保証GLに基づく債務整理においては、これに加え、債権者にとって経済合理性がある範囲内で残存資産の範囲を広げる余地があります(インセンティブ資産といわれます)。
債務者の立場からすると、ギリギリまで債務整理等しないで弁済に努めた方が債権者のためだと考えがちです。しかし、破産に至るよりも早い段階で債務整理に着手することで資産が保全され、結果的として債権者の受けられる弁済額が増額することも多くあります。このため、経営者保証GLでは、窮境に陥った経営者が早期に債務整理に着手する動機付けとなるよう、破産する場合よりも広い範囲で手元に資産を残すことを認めています。
こうしたインセンティブ資産の代表例としては、華美でない自宅や一定期間の生計費等が挙げられます。
経営者保証GLに基づく債務整理を行うか否かの判断においては、債権の種別や内容、事業継続の可否、現時点での経営状況、労働者の有無や賃金支払状況等、様々な観点からの検討が必要ですが、早期に検討することで、手元に残すことができる資産の範囲を広げることができるかもしれません。
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