トピックス
2020/08/05 新法・法改正・判例紹介トピックス 法改正
時効制度
1 時効期間と起算点
(1)改正前民法170条から174条まで、職業別の短期消滅時効制度が採用されていました。これらを統一化・短期化・主観化する改正が行われました。
(2)改正法では、職業別の短期消滅時効はすべて廃止され、債権者が権利を行使することができることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、及び権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに債権が時効により消滅することが定められました(改正民法166条1項)。なお、5年の商事消滅時効も廃止されました。
(3)例えば、売買代金債権については、支払期限到来時から客観的起算点・主観的起算点も進行を始め、主観的起算点から5年の経過したときに消滅時効が完成することになります。また、期限の定めがない債権については、債権成立時が客観的起算点となり、時効が進行する一方、債権者が債権を知ることにより履行請求が可能になるため、債権者がその債権の知ったことを債務者が知った翌日が主観的起算点となり進行します。そして、債権者が債権の存在を知ったことを債務者が知った日の翌日からの5年と、債権が成立した日の翌日からの10年のうち、これらのいずれかが経過したときに消滅時効が完成します。
2 時効の中断・停止
改正前民法上の時効の停止とは時効の進行が停止すること、時効の中断とは中断事由があったときに、それまでに経過した時効期間がリセットされ、その中断事由が終了した時から、改めて新たな時効期間が進行することを言います。
改正民法においては、中断事由ごとにその効果に応じて時効の完成を猶予することについては完成猶予事由、新たな時効の進行(リセット)については更新事由として、以下のように振り分けられました。
・承認 ⇒更新事由(改正民法152条)
・裁判上の請求 ⇒完成猶予事由+更新事由(改正民法147条等)
・催告など ⇒完成猶予事由(改正民法150条等)
・停止事由(未成年、成年後見、夫婦間、相続財産)
⇒完成猶予事由(改正民法158条から161条)
3 時効期間の特例
(1)生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効期間
人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効期間を長期化する特則が新設され、被害者等が損害と加害者を知った時から5年とされました(改正民法724条の2)。また、後述のように、損害や加害者を知らなくても、不法行為の時から20年が経過したときは時効が完成します(改正724条2項)
(2)不法行為債権に関する長期20年の期間制限
不法行為債権全般について、不法行為債権に関する長期20年の制限期間が時効期間であることが明記されました(改正民法724条2項)。
4 経過措置
施行日(令和2年4月1日)前に債権が生じた場合、又は施行日前に債権発生の原因である法律行為がされた場合には、その債権の消滅時効期間については、原則として改正前民法が適用され、上記のいずれにも該当しない場合には改正民法が適用されます。
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