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2020/09/23 新法・法改正・判例紹介トピックス 法改正
危険負担に関する見直し
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1.改正の経緯
契約当事者双方が債務を負う契約を、双務契約といいます。例えば、売主が商品を引き渡す義務を負い、買主が代金を支払う義務を負う、売買契約等です。
例えば、絵画の売買契約成立後、引渡し前に、第三者がこれを燃やしてしまった場合等、一方当事者の債務(=売主の絵画の引渡義務)が、当該当事者の責めに帰することができない事由によって履行不能となった場合、その債務の債権者の負う反対給付債務(=買主の代金支払義務)が存続するのか消滅するのかという問題を、危険負担といいます。
改正前民法では、原則として、反対給付債務は消滅することとなっていました。しかし、例外として、契約当事者の間で引き渡すべき目的物が特定されている(=「特定物」といいます。)場合には、反対給付債務はなお存続するものとされていました。
すなわち、先程の絵画の例でいえば、「この絵画1枚」が目的物となっている場合には、買主は絵画を引き渡してもらえないにもかかわらず代金を支払う義務を負うことになります。これに対し、「なんでもいいから絵画1枚」が目的物となっている場合には、買主は代金を支払う義務を負いません。もっとも、このような場合には、世界中の絵画が燃えてしまったというのでないかぎり、絵画の引渡義務が債務不能になっているのか、すなわち、売主が引き渡すことができる絵画が本当に存在しなくなってしまったのか、という点に別途注意が必要です。
特定物の買主が、これを引き渡してもらえないにもかかわらず代金を支払う義務を負うというのは、買主にとって酷にすぎるのではないかということが指摘されてきました。
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2.改正内容
そこで、今回の改正では、目的物が特定物か不特定物かを問わず、契約当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務の履行が不能となった場合、その債務の債権者は、反対給付債務の履行を拒むことができるものとされました。
反対給付債務が自動的に消滅するわけではないので、債権者がこれを確定的に消滅させたい場合には、債務不履行に基づく契約の解除をすることになります。
つまり、絵画の買主は、代金を支払わなくてよくなったのです。
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3.経過措置(附則第30条第1項)
施行日前である2020年4月1日より前に締結された契約については、改正前民法が適用されます。
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