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労働法トピックス

2022/06/06   出向・転籍等人事問題   労働法トピックス  

降格

1 降格とは

 降格とは、役職・職位・職能資格などを低下させることをいいます。降格は、①人事権の行使としてなされる場合と、②懲戒処分の一つとしてなされる場合があります。

2 人事権の行使としての降格

 人事権の行使としての降格のうち、役職を低下させるにすぎないものは、労働者の勤務成績、職務上の適格性、職務遂行能力などを評価した上、労働力の適正配置の問題であるため、使用者の人事権という裁量権の範囲を逸脱しない限りにおいて行うことができます。
 これに対し、職能資格や職位を低下させる降格は、役職手当などの賃金の変更を伴うものであり、労働契約上地位を変更するものであるから、労働者の同意又は就業規則上の規定など、契約上の根拠が必要であると解釈されています。例えば、就業規則上、職能等級制度や役割等級制度が定められ、その等級の引き下げにより賃金額が下がることが予定されている場合には、かかる制度が労働契約の内容になっており、契約上の根拠があると解釈されます。

3 懲戒処分の一つとしての降格

 懲戒処分は企業秩序違反行為に対する制裁罰としてなされるものですので、懲戒処分としての降格は、懲戒処分に関する法規制に服することになります。
 懲戒処分が有効になされるためには、①就業規則などにその根拠が定められていること、②懲戒権の発動原因である企業秩序違反行為の性質、態様、その他の事情に照らして、当該懲戒が、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められること(労契法15条参照)が必要です。
 なお、「降格」が懲戒処分としてなされたものか、人事権の行使としてなされたものかの区別について裁判例には、使用者がどちらの措置として行ったものかにより判断するもの(主観説)と、人事権の行使と懲戒処分の客観的な性質に即して区別するもの(客観説)とがあります。客観説は、その「降格」が、客観的に見て、職務上の適格性や職務遂行能力の欠如を理由としてなされた場合には人事権の行使としての降格であり、他方、企業秩序違反行為に対する制裁罰としてなされた場合には懲戒処分としての降格にあたると判断するものです。

4 降格による降給

 降格による「降給」と「減給」が混同されることがあります。
 減給は、企業秩序違反行為に対する制裁として懲戒処分の一つで、本来支払われる賃金から一定額を差し引くことをいいます。減給について、労働基準法91条は、「1回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」として、「減給」の制裁規定の制限を定めています。
 しかし、降格に伴い降給する場合とは異なりますので、降格に伴い降給する場合にはかかる減給の制裁規定にかかる制限を受けるものではありません。
したがって、降格自体が有効である場合には、それに伴って降給することも有効であると解されます。

 

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