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2023/08/22 個人再生 破産トピックス
個人再生手続とは
1 はじめに
支払いが困難な状況にある方の債務を整理するための手続として、破産手続があることは、こちらの記事でご説明したとおりです。
今回は、その他の手続として考えられる個人再生手続についてご説明します。
2 個人再生手続とは?
個人再生手続とは、民事再生法が定める制度です。内容は、支払いが困難な状況にある方が、全債権者に対する返済総額を減少させ、減少後の金額を原則3年間で分割して弁済する再生計画を立て、債権者の意見を聞いた上で裁判所が認めれば、その計画通りの弁済をすることによって、一部の債務を除いた残債務が免除されるというものです。
3 個人再生手続が適しているといえる場合
支払いが困難な状況といっても、事情は様々です。例えば、以下の場合には、破産手続よりも個人再生手続の方が適していると考えられます。
①破産者であることが欠格事由となっている職業(例:生命保険外交員、警備員等)に就いている場合
②住宅ローンが残っている自宅を有しており、できれば自宅に住み続けたいという希望を有している場合
③免責不許可事由に該当する場合
4 個人再生手続の種類と要件
個人再生手続には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続があります。実務上は、小規模個人再生手続が多く採られています。以下、小規模個人再生手続についてご説明します。
(1)小規模個人再生手続の要件(民事再生法221条1項)
①将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること。
②再生債権の総額(住宅ローン等を除く)が5000万円を超えない場合であること。
5 個人再生手続における最低弁済額
個人再生手続は、再生計画が認められて計画通りの弁済をすることで一部の債務を除いた残債務が免除されることが、大きなメリットです。しかし、個人再生手続では最低限弁済しなければならない金額があります。
(1)小規模個人再生手続の場合には、①基準債権から計算される最低弁済額(民事再生法231条2項)、②清算価値のいずれか高い方を最低弁済額として定めなければなりません。
①について、基準債権から計算される最低弁済額は以下のとおりです。
基準債権 |
最低弁済額 |
100万円未満 |
基準債権の総額 |
100万円以上500万円未満 |
100万円 |
500万円以上1500万円未満 |
基準債権総額の5分の1 |
1500万以上3000万円未満 |
300万円 |
3000万以上5000万円未満 |
基準債権総額の10分の1 |
②については、簡潔に言うと、自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額です。破産手続により債権者が得られる弁済以上の金額を保障するという点で、これを「清算価値保障原則」といいます。
(2)最低弁済額を下回る再生計画を提出しても、その再生計画は付議されず、また付議され可決されても不認可となります(民事再生法230条2項、231条1項)ので、注意が必要です。
6 住宅ローン特則
個人再生手続は、民事再生法において、いわゆる住宅ローン特則(民事再生法196条以下)を定めています。住宅ローン特則によれば、ローン債務とその他の債務の返済条件を分けることができ、自宅に住み続けた場合でも経済的に立ち直る機会が与えられます。
住宅ローン特則を利用できる要件は以下のとおりです。
①個人再生手続の要件を充足していること
②「住宅」であること
ⅰ 個人である再生債務者が所有する建物であること
ⅱ 再生債務者が自己の居住の用に供する建物であること
ⅲ 建物の床面積の2分の1に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されること
ⅳ 建物が複数ある場合には、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物で
あること
③「住宅資金貸付債権」に当たること
④住宅資金貸付債権が法定代位により取得されたものでないこと
⑤対象となる住宅に住宅資金貸付債権のための抵当権ではない担保が設定されていないこと
⑥対象となる住宅以外の不動産にも住宅資金貸付債権の抵当権が設定されている場合には,その住宅以外の不動産に後順位抵当権者がいないこと
このように、住宅ローン特則を利用するための要件は複雑で法的判断が必要なものとなります。
以上のとおり個人再生手続は、要件充足の判断等複雑なものが多く、個人の方が自ら申立てを行うことは非常に難しいものです。個人再生手続をご検討の方は、アステル法律事務所までご相談ください。
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