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トピックス

2024/06/20   事業再生トピックス   分野別事業再生の留意点  

宿泊業

1.経営不振の原因

宿泊業を営む企業が窮境に陥る典型的な原因としては
①海外志向や経済不況等のため国内旅行者が減少し、売り上げが大きく落ち込んだ
②インバウンド客が急激に減少した
③過去の設備投資に対する返済が困難となった
等が挙げられます。

2.事業再生に向けた取り組み

集客性と顧客単価を向上する方法を模索することになります。接客、食事、清掃等のコストを削減しすぎると、サービスレベルの低下を招き、顧客離れが加速してしまうため、注意が必要になります。

従業員の就業形態を1年間の変形労働制を採用する等、繁忙期・閑散期に応じた労務体制をとることで人件費を削減する、建物設備・料理・アメニティ等付加価値を作るウェブマーケティングを強化するとともに、自社サイト経由の予約割合を高め、手数料のコスト削減を図る、インバウンド客の集客に特化する等の各社の具体的場面に応じた対応を模索することになります。

3.事業再生の手法

再建型の手続とはいえ民事再生等の法的整理による場合には商取引債権者を含む全ての債権者を対象とすることになりますので、商取引上の信用不安から取引の継続に重大な支障を生じさせるおそれがあります。そのため、債権者を巻き込んだ抜本的な対応が必要となる場合でも、商取引債権者に影響を与えず、また、企業ブランドが毀損されにくい私的整理手続が望ましいといえます。

もっとも、私的整理期間中の資金繰りが維持できないケースや金融債権の調整のみでは抜本的な解決が図れないという場合などには、法的整理を選択せざるを得ないといえます。

この場合、再建型の法的整理としては民事再生手続が用いられることが一般的ですが、前述のとおり商取引債権者を巻き込むことになるため取引の維持に対する影響が否定できません。取引の継続を受け入れてくれたとしても、少なくとも当面の間は現金取引を要求されることが多いため、資金確保が課題となります。また、宿泊業を営む企業は、不動産を債権者に担保として提供していることが多いことから、法的整理を選択する場合には、こうした担保権者との調整が図れるかどうかということも再生可能性を左右する重要な要素となります。

宿泊業について事業承継や会社分割等による事業承継を行う場合、事業譲渡先が必要な許認可等を承継できるかどうかについて、検討する必要があります。例えば、旅館業許可・飲食店営業許可・温泉業許可・公衆浴場営業許可・酒類販売業免許・たばこ小売販売業許可については、事業承継を行う場合には改めて許可を取得しなければなりません。許可取得の難易度は許認可によって異なりますので、あらかじめ検討と準備が必要です。

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