お知らせ
事業所報
2025/01/14
Author :アステル
THE ASTER TIMES 2025.1 vol.43
謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
アステル法律事務所は、設立から12年目に入りました。
今年は、3月に弁護士の増員を予定しており、さらに充実したサービスを皆様に提供できる体制となる予定です。皆様に特にお伝えしたい今年の注力事項は、以下の3つです。
1 従業員福利厚生のお手伝い
最近、「新しい人が採用できない。」とか「従業員の定着率を高めたい。」という声がよく聞かれるようになりました。特に熊本では人手不足が深刻であり、従業員満足度を高め、定着してもらうことが課題となっています。
アステル法律事務所では、従業員の福利厚生の一つとして、顧問先様向けに従業員プライベート相談を提供しています。これは、顧問先の役員や従業員の方の、離婚や相続などプライベートな問題についての法律相談を初回無料で対応すると共に、ご依頼に至った場合、弁護士費用を1万円オフするという制度です。
この従業員プライベート相談をよりお手軽に利用していただくEAP制度というものがあります。これは、顧問契約における従業員プライベート部分のみを年間3万3000円(従業員100名以下の場合)で利用いただけるという制度です。詳しくはお問い合わせください。
2 顧問先向け書式提供サービスの充実
顧問先様に利用いただける各種書式の提供サービスをさらに充実させる予定です。
これまでも契約書や社内の手続きにご利用いただける書式を提供しておりましたが、その種類や内容を充実させ、顧問先様の法務になくてはならないページにしたいと考えております。追加を希望される書式等がありましたら、ご希望をぜひお寄せください。
3 相続分野のLINEでの相談受付の開始
相続分野のご相談について、LINEでの相談受付を開始します。相続問題をかかえていらっしゃる方の中には、熊本から離れた場所にお住まいだったり、足が不自由で来所相談が困難だったりする方もいらっしゃいます。そのような方のご相談のニーズにお応えするために、LINEを使って相談受付を行った上、ZOOMを利用して遠隔地でも相続相談が受けられるようにするものです。
今年も、アステル法律事務所は、熊本の皆様のお役に立てる法律事務所として、そして熊本の企業の発展にお役に立てる法律事務所として、法務のサポートに力を入れていきたいと考えております。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
代表弁護士 下山和也
保育園事故(アレルギー物質を含む食品の提供)における損害賠償責任 ―福岡地裁令和6年4月26日判決
1 保育園等食事を提供する施設では、アレルギー物質を含む食品の提供によるアレルギー反応やアナフィラキシーショック等が生じないよう、それぞれの子どものアレルギーの有無に常に気を配られていることと思います。
本件は、保育園において、鶏卵と小麦についてアレルギーのある子ども(2歳児。以下「本児」といいます。)に対し、2回にわたりアレルギー物質を含む食品を提供してしまった事案です(1回目:プリン、2回目:パスタ)。
保育園側の過失自体は明らかなため争いになっていないのですが、本児やその親に対してどこまでの金銭的な賠償が必要なのか、慰謝料の金額が問題となりました。
2 裁判所は、1回目の事故と2回目の事故とを分けて、それぞれについて慰謝料の金額を算定しました(なお、治療費や入院雑費、付添費用は別費目です。)。
⑴ 1回目の事故について
1回目の事故において、本児は蕁麻疹等のアレルギー反応を発症して救急搬送され、搬送先の病院で1日治療を受けました。
裁判所は、保育園側の過失について、食材の誤発注という本件保育園の調理師の基本的かつ容易な注意義務の懈怠であることや、1回目の事故の発覚から救急通報まで約28分を要するなど応急措置に迅速性を欠いたこと等落ち度の大きさを評価し、本児が受けた身体的、精神的な負担は決して小さくないとしつつも、アナフィラキシー症状には至っていないことから、慰謝料を3万円としました。
⑵ 2回目の事故について
2回目の事故において、本児は、緊急搬送時から約4時間にわたり呼吸困難による酸素投与を要するほどの重篤なアナフィラキシー症状を発症し、翌日まで2日間の入院を余儀なくされました。
裁判所は、保育園側の過失について、1回目の事故後に園長が園側のミスを認め再発防止策を講じたにもかかわらず、そのわずか16日後に2回目の事故を発生させたという落ち度の大きさを評価し、本児の治療を担当した医師が幼児には適応に疑義のある例外的処方の検討を余儀なくされる状況にまで陥っていたこと等に照らすとその身体的、精神的な負担は相当大きいものであったとしつつ、慰謝料を20万円としました(なお、園は別途見舞金3万円やきょうだい児の入園時費用約9万円の返還という補償をしていました。)。
⑶ 保育園事故の慰謝料算定における考え方
事故事案における慰謝料の算定では、交通事故事案について受傷した被害者の傷害の内容、程度を兆表する入通院の期間を基礎として定められた算定表(「赤い本」と呼ばれる書籍にまとめられています。)が一般的に用いられています。
本児の親は、交通事故事案との違いを主張し、本件はより身体的、精神的な負担が相当大きいとして、赤い本に基づく算定によるべきではないと主張しました。しかし、裁判所は、赤い本の算定表は相応の合理性及び客観性を備えており交通事故以外の損害の算定においても裁判実務上広く用いられているということで、本件のような保育園事故の事案における精神的苦痛は様々であるとしても、慰謝料の算定にあたって参考とされる旨述べました。
また、本児の親は、本児が重篤な状況に陥ったこと等により親にも大きな精神的な苦痛が生じていることを理由に、本児の慰謝料金額の増額を求めました。しかし、裁判所は、親が抱いた強い不安や保育園への信頼を裏切られたことに対する強い怒りに一定の理解を示しつつも、親と別人格の本児の慰謝料金額が直ちに左右されるものではないと判断しました。
本裁判例により、保育園事故という類型においても、基本的には合理性・客観性を備えた赤い本の算定表に基づいて賠償金額を算定する実務となると考えられます。
熊本本店 弁護士福井春菜
「これだけは知っておきたい保証契約のポイント」
保証に関する民法の規定については、平成16年及び平成29年の各改正によって、大きな変更が加えられています。この機会に、保証に関する現行民法の規定の重要なポイントについて、おさらいをしたいと思います。
1 要式性
従前は、保証契約も、当事者の合意のみで成立する契約として位置付けられていましたが、現行民法下では、「書面又は電磁的記録」(以下「書面等」といいます。)でされていない保証契約は「無効」になります(446条2項)。
2 個人根保証契約における根保証人の保護
「根保証契約」とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主債務とする保証契約(465 条の2第1項)のことです。不動産賃貸借契約における賃借人の保証、入院申込時の保証、身元保証などがあります。
個人が保証人となる(以下「個人保証」といいます。)根保証契約(以下「個人根保証契約」といいます。)は、「書面等」で「極度額」(上限のことです。)を定めないと「無効」になります(465条の2第2項)。
また、個人根保証契約では、保証の対象となる債務が定められていませんが、一定の事由が発生した場合は、そのときまでに生じた債務のみが保証の対象になる(元本確定)することになっています(465条の4)。
3 保証人に対する情報提供義務
⑴ 主債務の履行状況に関する情報提供義務
主債務者から委託を受けた保証人の請求があった場合には、債権者は保証人に対し、遅滞なく主債務の元本及び主債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければなりません(458条の2)。
⑵ 主債務者が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務
個人保証の場合、主債務者が期限の利益を喪失したら、債権者はそれを知ったときから2か月以内にその事実を保証人に通知しなければならず、その通知を怠った場合には、保証人に対し期限の利益を喪失したときから通知をするまでの遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)を請求できなくなります(458条の3)。
4 事業性貸金等債務に関する個人保証の制限
主債務が事業のために負担した貸金等債務(以下「事業性貸金等債務」といいます。)である場合の個人保証は、「経営者保証」の場合を除き、保証契約または根保証契約の締結前1ヶ月以内に作成された公正証書において、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、「無効」となります(465条の6第1項)。ここで、「経営者保証」とは、主債務者が「法人」の場合は、法人の理事・取締役や過半数株主などによる保証を、主債務者が「個人」の場合は、共同事業者や事業に現に従事している配偶者による保証をいいます(465 条の9)。
5 事業性貸金等債務に関する個人保証の際の情報提供義務
事業性貸金等債務について、主債務者が個人保証を委託する場合には、「①財産及び収支の状況、②主債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、③主債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容」について、情報提供しなければなりません(465条の10第1項)。この情報提供義務違反のために、委託を受けた者がその事項につき誤認して保証の申込み又は承諾の意思表示をした場合において、情報提供義務違反があることを債権者が知り又は知ることができたときは、保証人は保証契約を取り消すことができるとされています(同条第2項)。
以上のとおり、現行民法の規定は、保証契約の無効や取消を招く内容を含んでいます。保証契約について、ご不安がある場合は、一度、アステル法律事務所までご相談ください。
八代オフィス 弁護士中松洋樹
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