労働法トピックス
2017/03/27 労働法トピックス 労災
歓送迎会後の送迎中の交通事故を労災と認定した事例
平成28年7月8日,最高裁が,交通事故で死亡した従業員(以下,「本件従業員」といいます。)の労災認定に関して,原審を破棄,第1審を取り消して,労災と認定した判決が出されました。
この事案は,中国人研修生を受け入れている会社において,会社主催で研修生の歓送迎会が開催されましたが,本件従業員は業務多忙であり,業務を中断して歓送迎会に作業着のまま途中参加し,歓送迎会終了後,業務を再開するために会社に戻る途中に研修生を自宅アパートに送り届けるため会社所有の自動車を運転していたところ,交通事故に遭い死亡しました。
本件従業員の妻が,労基署長に対して遺族補償給付等の支給を請求しましたが,労基署長は,死亡が業務上の事由によるものとはいえないとして支給しないとの決定をしました。
原審は,歓送迎会は従業員有志によって開催された私的なものであると認定し,本件従業員が途中参加であることや,研修生の送迎が任意であるから,運転行為は会社の支配下とはいえないとしました。
これに対し,最高裁は,①歓送迎会への参加を本件従業員の上司が強く要請しており,業務多忙な本件従業員において歓送迎会終了後に会社に戻って業務を再開することを余儀なくされたものであるから,会社が本件従業員に対し,職務上一連の行動をとることを要請していたといえること,②歓送迎会が会社の費用で行われ,研修生の送迎も会社所有の自動車によって行われているから,会社の事業活動に密接に関連していること,③研修生の送迎は,元々本件従業員の上司が行うことが予定されていたが,本件従業員が代わって行ったことは会社から要請されていた一連の行動の範囲内であること,④研修生のアパートが,歓送迎会が開催された飲食店から会社へ戻る経路から大きく逸脱するものでないこと,これらの事情を総合的に考慮して,本件交通事故の際,本件従業員は,会社の支配下にあり,交通事故による本件従業員の死亡は業務上の災害であるとして,遺族補償給付等の不支給決定を取り消しました。
労災と認定されるためには,事業主の支配下にある状態で当該災害が発生したことが要件とされますが,会社外における宴会の送迎の際の交通事故に関して,様々な事情を総合考慮して,最高裁が原審の判断を破棄した上で,労災認定しており,実務上参考となるものです。
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