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2024/10/18

著者Author :アステル

THE ASTER TIMES 2024.10 vol.42

ブランドを守る、商標登録のすすめ

1 皆様の会社名や、商品・サービス名はどのような意味がありますか?名づけの際のエピソードはありませんか?

会社名や商品・サービス名には、経営者や開発者の思いが込められていることが多く、また業務に関わってきた多くの関係者にもプライドと愛着を持たれています。また、利用者に親しまれてゆくことで、市場での認知機能と信用力の醸成にも役立ちます。そのような会社名や商品・サービス名は「ブランド」としての機能を有していきます。

今回は、ブランドを守るためにとても重要な「商標登録」をお勧めしたいと思います。

 

2 自社の取り扱う商品やサービスを他社のものと区別するために使う文字や図形等のマークを「商標」といい、会社名や商品・サービス名、ロゴ等はこれに該当します。

「商標」を「商標権」として権利化するためには、特許庁への「商標登録」がなされなければなりません。「商標権」が生じると、日本国内において、商標権者以外の者が、登録された商標と同一・類似する商標を、同一・類似する商品やサービスに使用することはできなくなります。

 

3 もし、御社の会社名や商品・サービス名と同一・類似の商標が、他社によって先に登録されてしまうとどうなるでしょう。商標権の効果は「日本国内」に及ぶため、たとえ商圏が競合していなかったとしても、商標権者は類似商標の使用者に対して、当該商標の使用差し止めを求めることができます。他社に先に商標登録されてしまうと、思いを込めて名付けた名称を使用できなくなり、ひいては、これまで実施してきた広報効果や積み上げてきたブランド力を手放さなければならなくなってしまう可能性があるのです。

 

4 このような事態を避けるため、是非「商標登録」をご検討ください。

既に登録されているものと類似の商標は登録できないため、まず「商標調査」を行います。そして調査の結果を踏まえ、登録すべき分類(商品やサービスの範囲)を確定して「商標申請」を行います(なお、申請から登録までは、通常の審査で1年程度、早期審査が利用できる場合でも数か月かかります。)。

私が弁理士登録したのは、顧問先企業様をはじめ熊本の事業者の皆さんに商標等の知財活用のお手伝いをしたいと思ったからです。

 

当事務所でも、商標登録申請のお手伝いをさせていただいております。複雑な事案の場合は、連携している熊本在住の弁理士をご紹介することもできますので、まずは岡井までお気軽にご相談ください。

 

熊本本店 弁護士・弁理士 岡井  将洋

 

フリーランス法の解説(令和6年11月1日施行)

 

令和6年11月1日から、フリーランスと事業者間の取引を適正化するために、いわゆるフリーランス法が施行されます。この法律でいうフリーランスとは、従業員を使用しない事業者をいい、フリーランスに業務委託する事業者が守るべき義務を定めた法律になります。

 

発注事業者が守るべき義務としては、発注事業者自身が、以下のうち、どれに該当するかによって変わります。

Ⓐ発注事業者が従業員を使用していない場合

Ⓑ発注事業者が従業員を使用している場合

Ⓒ発注事業者が従業員を使用しており、一定期間以上業務委託を行う場合

なお、Ⓒにおける一定期間とは基本的に1カ月以上ですが、6カ月以上の場合はさらに義務が課されます。

 

ⒶⒷⒸいずれの発注事業者も、フリーランスに対して業務委託をした場合、直ちに書面または電磁的方法(メール、SNSのメッセージ等)で以下の9つの取引条件を明示する義務があります。

①給付の内容

②報酬の額

③支払期日

④業務委託事業者・フリーランスの名称

⑤業務委託をした日

⑥給付を受領する日/役務の提供を受ける日

⑦給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所

⑧(検査をする場合)検査完了日

⑨(現金以外の方法で報酬を支払う場合)報酬の支払方法に関して必要な事項

 

これに加えて、Ⓑ及びⒸの発注事業者には、「報酬支払期日の設定・期日内の支払い」、「募集内容の的確表示」、「ハラスメント対策に係る体制整備」という3つの義務が課されます。「報酬支払期日の設定・期日内の支払い」とは、発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払わなければならない義務です。また、「募集内容の的確表示」とは、広告などによりフリーランスの募集情報を提供する際には、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、募集情報を正確かつ最新の内容に保たなければならないという義務です。さらに、「ハラスメント対策に係る体制整備」とは、ハラスメントによりフリーランスの就業環境が害されることがないよう、相談対応のための体制整備などの必要な措置を講じなければならないという義務です。

さらにⒸの発注事業者には、「7つの禁止行為」が課され、業務委託期間が6カ月以上の場合は、「育児介護等と業務の両立に対する配慮」、「中途解除等の事前予告・理由開示」の義務も課されます。

 

このうち、「7つの禁止行為」は、以下の7つの行為が禁止されるものです。

①受領拒否(注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと)

②報酬の減額(あらかじめ定めた報酬を減額すること)

③返品(受け取った物品を返品すること)

④買いたたき(類似品等の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること)

⑤購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)

⑥不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)

⑦不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後にやり直しをさせること)

 

また、「育児介護等と業務の両立に対する配慮」とは、フリーランスからの申出に応じて、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければならないという義務です。さらに、「中途解除等の事前予告・理由開示」とは、その業務委託に関する契約を解除する場合や更新しない場合、少なくとも30日前までに、①書面②ファクシミリ③電子メール等による方法でその旨を予告しなければならないというものです。

 

撮影業務や運送業務など、発注の相手方がフリーランスか否か意識しないままに業務を委託していることもあるかもしれません。令和6年11月1日以降は、このような規制が発生しますので、注意が必要です。

熊本本店 代表弁護士 下山 和也

 

配置転換命令の適法性について -最高裁令和6年4月26日判決-

第1 はじめに

労働者の職務内容または勤務場所が相当の長期間にわたって変更されるものを「配転」といい、このうち同一勤務地(事業所)内の勤務箇所の変更が「配置転換」と言われます。

そして、使用者が労働者に配置転換を命令することができる根拠は、労働契約上、職務内容の決定権限(配転命令権)が使用者側に認められていることが多いためです。例えば、就業規則上、「業務の都合により出張、配置転換、転勤を命じることがある」等と規定されていれば、それが配転命令権の根拠となります。

一方で、労働契約上の権利であることから、使用者の配転命令権は、労働契約の内容によって制限されることもあります。特に問題になるのが、労働契約の締結の際に、当該労働者の職種が限定されている場合です(これを「職種限定特約」といいます)。

本件は、労使間で職種限定特約が存在するにも関わらず、使用者が労働者に対し、労働者の同意を得ることなく行った配転命令の適法性について、初めて最高裁が判断を示した事案です。

第2 事案の概要及び裁判所の判断

1 本件における被上告人(財団法人)は、社会福祉センターの一部である福祉用具センターの指定管理者等とされていました。上告人は、被上告人に、福祉用具の改造及び製作並びに技術の開発を業とする技術職として雇用されて以降、約18年間技術職として勤務しており、両者の間では、上告人の職務内容を技術職に限定する旨の合意がありました。

ところが、被上告人は、上告人の同意を得ること無く、上告人に対し、総務課施設管理担当への配置転換を命じました(以下「本件配転命令」といいます。)。これに対し、上告人が、本件配転命令が違法であると主張し、損害賠償等を求めた事案です。

 

2 第一審(京都地裁令和4年4月27日判決)及び控訴審(大阪高裁令和4年11月24日判決)は、上告人と被上告人との間に職種限定特約が存在することは認定しつつ、福祉用具センターにおいて福祉用具の改造・製作の需要が激減していたこと、それに伴い、技術職の業務が廃止される方針であったことから、本件配転命令は解雇回避義務の一内容として行われたものであり、権利濫用とは言えないとして、本件配転命令は適法であると認定しました。

 

3 これに対し、最高裁は、上告人と被上告人との間に職種限定特約が存在する以上、「被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかった」と認定し、「被上告人が本件配転命令をする権限を有していたことを前提として、その濫用に当たらないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある」と説示し、本件を原審に差し戻す判断をしました。

 

第3 おわりに

上記の通り、本判決は、労使間で職種限定特約が存在すれば、使用者が労働者の同意を得ずに配転命令を行う権限がそもそも「無い」ことを明確にしました。

この最高裁の判断に照らすと、職種限定特約がある労働者に対しては、①業務上の必要性等を説明した上で配置転換の同意を得ることを丁寧に求め、②同意が得られない場合は、退職勧奨や、状況次第で整理解雇を検討することになります(同意が無いままの配転命令は行えないためです)。また、前提問題として、そもそも労使間で職種限定特約が存在するか否かも問題になります。本件でも、職種の限定について労使間で明確な書面等は締結されていないものの、経緯等に照らし、黙示の職種限定特約の成立が認定されています。

このように、使用者からの配転命令は無制限に行えるものでは無く、個別の労働契約の内容等から慎重にその可否を検討する必要があり、このためには専門的な知識が不可欠となります。お困りの際には、アステル法律事務所にご相談ください。

熊本本店 弁護士 金子 善幸

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