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事業所報
2016/04/21
Author :下山 和也
THE ASTER TIMES 2016.04 vol.08
コラム 平 島 有 希
-職場のメンタルヘルス-
最近,「メンタルヘルス」という言葉を耳にされませんか?
ストレス社会と言われ,仕事やプライベートで心理的負担を抱えるメンタルヘルス不調者は増加傾向にあります。
職場のメンタルヘルス問題に関しては,平成27年12月1日に施行された改正安全衛生法において,ストレスチェック制度が義務化されたことが注目されます。
メンタルヘルス不調者の問題は,会社にとって,効率的な業務活動や闊達な職場環境のマイナス要素になってしまいます。労働基準法5条は、「使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働をすることができるよう,必要な配慮をするものとする。」と定め,会社側に労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務を含みます。)があることを明記しています。会社には,労働者が会社の業務を行う中で怪我や事故を起こさないような対策ばかりでなく,メンタルヘルス対策を行うことまでも求められているのです。まずは,メンタルヘルス不調者を出さない職場環境づくりが重要です。
また,会社が安全配慮義務を怠った場合,労働者やその家族から,不法行為責任(民法709条)や使用者責任(民法715条),債務不履行責任(民法415条)を根拠として損害賠償請求を受けることがあります。
そのため,会社としては,安全配慮義務違反を追及されるリスクに対して,訴訟対応を念頭に置いた対策を講じることが肝要です。
今回のセミナーでは,職場のメンタルヘルス対策について,労働契約法上の安全配慮義務違反の判例の解説を通じて,訴訟対応を念頭においた就業規則の整備の仕方や休職者への対応をご紹介します。
明日から役に立てて頂けるセミナーにいたしますので,是非,ふるってご参加ください。
判例照会 福 井 春 菜
このニュースレターをお読みの方々の中に,ご家族あるいはご親戚に認知症高齢者を抱える方は相当数おられるのではないでしょうか。JR東海事件は,線路に立入り亡くなった認知症高齢者の妻と子が,JR側から高額の賠償請求を受けたことでマスコミにも大きく取り上げられました。
最高裁は,結論として,JR側の請求を認めなかったため,多くの認知症高齢者を抱える方が安堵されたのではないかと思います。しかし,法律家の間では,この判決に大きな問題があるといわれています。そこで,新聞では分からない最高裁判決の問題について,簡単にお伝えしておきたいと思います。
まず,念頭に置いていただきたいのは,この事案では,責任を問われた妻自身も要介護認定を受けていたということ,子は遠方で暮らし20年以上別居していたということです。そして,最高裁の以下のような判断枠組みからは,心身に異常がない同居又は近隣在住の家族については結論が異なる可能性が十分にあります。
民法は,法定の監督義務者(子に対する親が典型例です。)を定めています。同居の配偶者・子というだけでは,この法定の監督義務者にはなりません。
しかし,最高裁は,今回の判決で,「準法定監督義務者」という概念を作り出しました。これは,認知症高齢者との「身分関係や日常生活における接触状況に照らし(中略)現に監督を行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合」には賠償責任を問うことができるとしました。
最高裁は,「責任と問うのが相当といえる客観的状況」にあるか否かで判断するとしていますが,結局,今回の判決自体は責任を問う範囲を限定していません。むしろ,家族に限らず普段認知症高齢者とよく接している幅広い人が「準法定監督義務者」となる余地を残されており,どのような人まで含まれるかは,今後判例が重ならないとよく分からない状況です。
当面の間は,請求する側もされる側も,様々な事実を積み重ねて法的な主張・反論をしなければならないでしょう。
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