お知らせ
事業所報
2014/10/26
Author :下山 和也
THE ASTER TIMES 2014.10.vol.02
賃貸マンションの近隣トラブル対応 弁護士 岡 井 将 洋
第2号コラムは,不動産賃貸借(賃貸マンション)の明け渡しについて,特にどのような賃借人に対して明け渡しを請求できるか,考えてみたいと思います。
熊本においても,この1~2年,新たに建設されたマンションをよく見かけます。近年,居住用マンションが増え,多くの住民が,都市部のマンションで生活するようになりました。
賃借人のほとんどは,賃貸借契約に従った使用をし,きちんと賃料を支払っています。しかし,残念ながら,禁止された方法で物件を使用したり,賃料を長期間滞納したりするような賃借人も存在します。また,居住者間トラブルに賃貸人が巻き込まれる事案も多々みられます。
不動産賃貸借契約においては,物件の使用に関する禁止行為等の合意も有効な契約内容となり,賃借人は不動産賃貸借契約で定められた範囲で当該物件を使用することとなります。
仮に,賃借人が,物件の使用に関する禁止行為の定めに違反した場合,例えばペット不可物件でのペット飼育や,ごみの放置などの迷惑行為を行ったとしても,一度の違反行為があることのみをもって解約することは困難です。それは,賃貸借契約は,売買契約などとは違って,当事者がお互いに長期間付き合うことを前提とした契約ですので,簡単には契約解除をすることができないからです。
賃貸借契約においては,賃貸人と賃借人との「信頼関係」が破壊されたと認められる場合にのみ解除が可能です。例えば,建物の無断転貸や,造作物設置等,侵害の度合いが強い契約違反があればその事由をもとに解約できます。
先ほどの物件の使用に関する禁止行為違反に関していえば,例えば,賃貸人から賃借人に対し禁止行為に該当することを告知し,再三の禁止の要請が行われているにもかかわらず,これを長期間にわたって無視し続けるなどの事情があってはじめて,解約が認められる可能性が高くなるといえます。
物件の使用に関する禁止行為違反は,居住者間トラブルを招きやすいといえます。居住者間トラブルを放置すれば,迷惑をかけられた賃借人の怒りの矛先が賃貸人に向く場合もあり得ます。賃貸人としては,そのような事情が発生することも見越しながら,適切な物件管理をすることが必要となります。
10月22日開催の「賃貸借マンションオーナーのための法律問題」では,以上のような点を踏まえ,適切な賃貸物件の管理などについてご説明いたします。
専門家の回答を信頼した取締役の責任を否定した裁判例
1,会社に対する取締役の損害賠償責任
会社の取締役は,日々の業務遂行においてさまざまな経営判断が求められます。ところが,仮にその取締役の判断が結果的に誤っていた場合,それによって取締役の任務を怠ったと判断されれば,その取締役は会社に対して損害賠償責任を負うことになります。
経営判断をするにあたって,取締役が自分自身の知識のみで判断することもあるでしょうが,その分野に関する知識を特に有する人,例えば法律分野であれば弁護士に,財務分野であれば公認会計士や税理士に相談の上,判断する場合もあるでしょう。
今回,取締役が業務を行うにあたり,どのような情報収集や調査を行っていれば取締役個人としての損害賠償責任を負わなくていいのかという点に関して,興味ある裁判例が出されましたので,ご紹介したいと思います。
2,横浜地裁平成25年10月22日判決
ある会社が匿名組合契約に基づき出資したものの,結果的に配当を受けることもできないまま貸倒償却をすることになりました。そこで,出資を行うという判断をした会社の取締役らに対し,取締役らの任務懈怠を理由に,会社が損害賠償を求めました。
この事案において,取締役らは,出資を行うか否かの判断にあたって,金融関係の知識が豊富な顧問職にある者のアドバイスを受け,法務面は顧問弁護士に,会計面は公認会計士に問い合わせたとの報告を担当者から受けていました。
裁判所は,取締役が,情報収集や調査の際,弁護士や公認会計士などの専門家の知見を信頼した場合には,基本的に取締役の注意義務違反とはならないと判断しました。また,他の取締役や使用人等からの情報等については,特に疑うべき事情がない限り,それを信頼すれば注意義務違反とはならないとして,結果として取締役らの責任を否定しました。
3,弁護士への相談で取締役の個人責任が回避できる
会社を運営していくにあたり,契約書の精査が必要な場合や法的リサーチが必要な場合等に,弁護士に相談し,必要な調査を依頼することによって,リスクの軽減を図り,より有利な内容で事業を進めていくことが可能となります。
さらに,上記の裁判例に従えば,取締役が経営に関する判断を行うにあたって,法務面に関して弁護士へ事前に相談しておけば,その助言結果に基づく判断が結果的に誤っていたとしても,会社に対する個人責任を回避できることになります。すなわち,会社自体の法的リスク軽減の観点からはもちろん,取締役の個人責任回避の観点からも,弁護士への事前の相談は有益であるということになります。
会社の利益を図る観点からも,取締役個人のリスクに備えるためにも,弁護士への相談を活用されることをお勧めします。
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