労働法トピックス
2018/01/16 割増賃金・残業代・賞与・手当 労働法トピックス
中小企業退職金共済制度と退職金規定
中小企業退職金共済制度(以下「共済制度」といいます。)を利用し、従業員の退職金を支払う企業も多いと思います。
1 共済制度の概要
平成29年11月末現在で、共済制度を利用している企業は36万7185件に上り、対象となる従業員数は343万5006人に及びます。
共済制度は、中小企業退職金共済法に基づき、中小企業者の相互共済と国の援助により、中小企業の従業員に対し退職金が支払われる制度です。事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を結び、毎月の掛け金を金融機関に納付することで、従業員が退職した場合に共済機構から従業員に退職金が直接支払われることになります。
2 留意するべき点
共済制度では、5千円から3万円まで事業主が設定した掛け金を事業主が全額負担します。一方、退職金の支払いは、従業員に対して直接支払われます。
共済制度で支払われる退職金と自社の退職制度との整合性がない場合、どの範囲で退職金を支払わなければならないのかが問題となることがあります。貴社の退職金規定において、共済制度との整合性があるのかを以下の点を中心に確認しておかれてください。
(1)掛け金
事業主が、共済に対して支払う掛け金は、対象の従業員ごとに設定することになります。従業員から、掛金額が恣意的であるとの主張をされないためにも、退職金規定において、給与額や役職、勤続年数等により掛金月額を設定しておくことがのぞましいと思います。
(2)懲戒等の場合
懲戒等により退職、解雇する場合には、就業規則や退職金規定において退職金を減額する旨定められていることが多々あります。
この点、共済制度においても、懲戒解雇等のため退職金を減額したい旨の申し出をすることができ、かかる申し出に基づき、厚生労働大臣の認定により、共済から支払われる退職金が減額されることがあります。もっとも、これにより減額された場合でも、その減額分は共済制度の長期加入者の退職金支払財源にあてられ、事業者に返還されるわけではありません。
そこで、会社としては、従業員とのトラブルを防止するため、懲戒等の場合には、共済に対して、減額を申し出る場合があることを退職金規定に定めておく必要があります。
(3)その他
共済への加入時期等により、共済制度により支払われる退職金額と自社の退職金規定による退職金額との間に差額が生じる場合の処理についても予め退職金規定に定めておくべきです。
退職時は、会社と従業員の間のトラブルが最もおきやすい時期です。トラブルを事前に防止するためにも紛争を見据えた退職金規定を整備されることをお勧めいたします。
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