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企業法務トピックス

2019/08/16   企業法務トピックス  

会計参与制度の概要


 

1 会計参与とは

会計参与とは、取締役と共同して計算書類等を作成する権限を有する会社の機関であり(法374条1項)、主として中小の株式会社の計算書類等の記載の正確さに対する信頼を高めるために導入された制度です。

会計参与を設置するかどうかは、会社の任意であり、強制設置の機関ではありません。ただし、取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)が監査役を置かない場合には、これに代わるものとして、会計参与を置かなければなりません(法327条2項)。

2 会計参与の資格及び職務の内容

会計参与は、公認会計士(監査法人を含む。)又は税理士(税理士法人を含む。)でなければなりません(法333条1項)。

会計参与の主たる職務は次のとおりです。

(1)計算書類等の取締役との共同作成(法374条1項)

(2)会計参与報告の作成(法374条1項)

(3)取締役の職務執行に不正行為又は法令若しくは定款違反の重大な事実があることを発見したときの監査役等への報告(法375条)

(4)計算書類等を承認する取締役会への出席、意見陳述(法376条1項)

3 会計参与の選任・解任等

会計参与は、取締役と同様に、原則として、株主総会の普通決議によって選任及び解任が可能です。定足数は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数、決議要件は、出席した株主の議決権の過半数です(法329条1項・309条1項・341条)。定款において、定足数の軽減、決議要件の加重が可能です(法341条)。なお、会計参与は株主総会において、会計参与の選任、解任、辞任について意見を述べることができます(法345条1項)。

会計参与の任期は取締役と同様に原則2年ですが、非公開会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く)については、定款の定めにより10 年に伸長することができます(法334条1項、332条)。

なお、会計参与設置会社であることは登記事項となっており、会計参与を選任した場合は、その氏名又は名称等を登記する必要があります(法911条3項16号)。

4 会計参与制度の活用

会計参与制度は、2005年の会社法施行に伴い導入された制度です。中小会社において監査役制度は、形骸化していることが多く、計算関係書類の信頼性確保の観点から会計参与制度が設けられましたが、現実には、会計参与の報酬等がハードルとなってあまり活用されていないのが実情です。

とはいえ、税理士や公認会計士等の会計の専門家である会計参与が作成した計算書類等は、対外的に高い信頼性を有しており、金融機関からの融資や大手企業との取引の際に信頼を得やすいとの指摘や、株式公開を目指すベンチャー企業のように公開前から株主総会において、外部のステークホルダーに説明を要する機会があるような場合には、利用価値があるとの指摘もあります。

会計参与制度は、必ずしも普及しているとはいえませんが、企業不祥事の防止、企業の法令遵守の上で、大きな役割を果たす制度ですので、会計参与制度の導入についてご検討の際には、弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。

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