企業法務トピックス
2019/12/03 企業法務トピックス
社債の活用
1 社債の意義
社債は、どのような会社であっても発行することができる、会社を債務者とする金銭債権です(会社法676条、2条23号)。中小企業では、少数特定の投資家に発行する「私募債」が資金調達の方法として活用されているケースがあります。この項目では、社債について、一般的な説明をします。
社債の特徴は、株式と異なり、①経営に関与されないという点と、②返済期限までは利息の支払いを受け、返済期限には投資資金が返済される点にあります。
社債権者と株主との違いについて簡単に示すと、次のようになります。
|
社債権者 |
株主 |
地位 |
債権者 |
社員 |
経営参加 |
参加不可 |
議決権行使等 |
投下資本 |
償還期限に償還を受ける(676条4号) |
出資の払い戻しは原則不可 |
収益 |
利息の支払いを受ける |
配当を受ける(453条、461条) |
2 社債の種類
社債は、一般的に、返済期日までに利息と共に元本の償還を受ける「普通社債」を指します。このほか、一定条件で株式と交換できる「転換社債」や、新株予約権が付与された「ワラント債」などがあります。
3 社債の発行手続き
社債の募集事項については、取締役設置会社においては取締役会で決定することとされていますが(362条4項5号)、迅速な資金調達を確保するため、取締役会では重要な事項のみ決定すれば足り、取締役に委任することができます(施行規則99条)。
したがって、基本的な発行の流れとしては、①取締役会での募集事項の決定を行い、社債の引受け申込みをしようとする者に対して募集事項を通知します(677条1項)。②引受けの申し込みを受けた後(同条2項、3項、)、③申込者の中から割り当てを受ける者やその社債の金額などを決め(678条1項)、社債が発行される(680条)という流れです。
4 少人数私募債
社債を発行する場合は、原則として、銀行や信託会社などの社債管理者を定め、社債の管理を委託する必要があります(702条、703条、施行規則170条)。
しかし、「社債の総額」を「当該種類の各社債の金額の最低額」で除した数が50を下回る場合(いわゆる「少人数私募債」の場合)には、管理者を定める必要はありません。
また、少人数私募債の場合、金融商品取引法上の開示規制にもかからないなど、少人数特定の人たちに発行するものであることから、一般的な公募社債と比べ、緩やかな規制となっています。
5 まとめ
社債は、株式と異なり、経営に関与されることなく、また期限までは利息のみを支払えばよいというメリットもあります。
当事務所では、税理士や公認会計士と連携しながら、資金調達についてのアドバイスも行うことができますので、資金調達をお考えの場合には弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください。→https://www.aster-law.net/reservation/
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