企業法務トピックス
2020/01/27 企業法務トピックス
組織再編と反対株主
1.はじめに
組織再編の種類と手続は、これまで概観したとおりです。
組織再編は、当事会社の株主に不利益を与える可能性がありますが、原則として株主の多数決で行うことができます。そこで、反対株主の利益を保護するための手続として、株式買取請求、組織再編の差止め、組織再編の無効の訴えの3つが用意されています。
2. 株式買取請求
組織再編に反対する株主は、簡易分割の場合を除き、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取るよう請求することができます。
まず、当該組織再編のために株主総会決議を要する場合には、①当該総会に先立って、組織再編に反対する旨を会社に通知したうえで、②現に、総会で反対の議決権を行使する必要があります。次に、株主総会決議を要しない場合、すなわち、簡易分割以外の簡易組織再編、略式組織再編の場合には、すべての株主が株式買取請求できます。
簡易分割の場合は、株式買取請求はできません。
また、株式買取請求ができる期間は、承継型組織再編(吸収合併、吸収分割、株式交換)の場合には、効力発生日の20日前から効力発生日の前日まで、新設型組織再編(新設合併、新設分割、株式移転)の場合には、組織再編に関する情報の通知・公告の日から20日以内です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
3.組織再編の差止め
①組織再編が、法令または定款に違反する場合で、②株主が不利益を受けるときは、株主は、当該組織再編の差止めを請求することができます。
また、略式合併の場合には、合併が法令または定款に違反しない場合でも、合併の条件が当事会社の財産の状況等に照らして著しく不当であるときは、差止めを請求することができます。
ただし、簡易組織再編の要件を満たす場合には、差止請求をすることはできません。
4.組織再編の無効の訴え
組織再編の手続に軽微とはいえない瑕疵がある場合にかぎり、組織再編の無効の訴えを提起することができます。
どのような手続違反が無効原因、すなわち軽微とはいえない瑕疵にあたるか、会社法上に規定はありませんが、組織再編契約・計画の必要的記載事項の欠缺、株主総会決議の瑕疵、株式買取請求の手続が履践されないこと等がこれにあたると考えられています。
なお、組織再編の条件が不公正であることは、原則として、無効原因にはあたりません。当該条件に不満がある株主は、株式買取請求によって、投下資本の回収を図ることになります。
分かりやすさのため、前回及び今回は、必要な手続・要件を簡略化してお話ししていますが、実際に組織再編を行うにあたっては、厳格な手続が法定されています。後々のトラブルを防ぐため、手続を慎重に履践する必要があります。組織再編をご検討の際は、弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。→https://www.aster-law.net/reservation/
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