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企業法務トピックス

2020/02/09   企業法務トピックス   持分会社  

持分会社の設立、社員

 

1  持分会社の設立

(1)持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)は、①社員となろうとする者が定款を作成して、その全員が署名または記名押印し、②設立登記をすることによって、設立することができます(会社法第575条、579条)。合同会社では、社員は、原則として設立登記までに、持分会社の種類に応じた出資を履行する必要があります(会社法第578条。全額払込主義)。

 

(2)定款に定める事項は、下記のとおり分類されます。

絶対的記載事項 必ず定めなければならないもの

・会社の目的

・商号

・本店所在地

・社員の氏名・名称、住所

・当該社員が無限責任社員か有限責任社員か

・当該社員の出資の内容

相対的記載事項 定款に記載すると効力が生じるもの

(例)

・持分譲渡の要件

・社員が死亡した場合の、相続人の地位に関する事項

・社員の退社に関する事項

・業務執行に関する事項

・利益配当に関する事項

・出資の払戻しに関する事項

任意的記載事項

定款以外で定めても効力が生じるもの

(例)

・事業年度

・社員総会制度

持分会社は、株式会社に比べて相対的記載事項が多く、広い定款自治が認められています。柔軟な会社設計ができるため、近年需要が高まっています。

2 社員について

株式会社では、会社に出資をした株主と業務を執行する取締役等の役員は必ずしも一致しません(所有と経営の分離)。これに対し、持分会社では、原則として、社員が会社の業務を執行します(会社法第590条、591条)。そのため、誰が社員になるのかが重要になってきます。

設立後の社員の変動について、会社法は、以下の3つの方法を定めています。

(1)加入

持分会社の設立後に、新しく社員として加わることをいいます。

定款を変更することで、新たな社員の加入が可能です(会社法第604条)。合同会社では、定款の変更の他に、新たに社員となろうとする者が出資を完了することが必要です(第604条)。

(2)持分の譲渡

持分会社の社員としての地位を譲ることをいいます。元々の社員の地位が引き継がれるという点で、新たに社員の地位を作り出す加入とは異なります。

持分の譲渡には、定款に異なる定めがないかぎり、他の社員全員の承諾が必要です。もっとも、業務を執行しない有限社員は、業務執行社員全員の承諾があれば、持分を譲渡することができます(会社法第585条)。

持分を譲渡した後も、その登記がされるまでは、第三者との間では債務弁済の責任を負うことに注意が必要です(会社法第586条)。

(3)退社

持分会社の設立後に、社員としての資格を消滅させることをいいます。

社員は、定款に異なる定めがないかぎり、6ヶ月前に予告をすることで、いつでも退社することができます(任意退社。会社法第606条)。また、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができます。さらに、一定の事由がある場合には、社員本人の意思にかかわらず、退社することになります(法定退社。会社法第607条)。法定退社事由については、定款による柔軟な設計が可能です。

退社した社員は、持分の払戻しを受けることができます(会社法第611条)。金銭による払い戻しをする場合、その計算は、会社の純財産額に当該社員の出資の割合を乗じる方法で行うことが多いようです。

退社した後も、その登記がされるまでは、第三者との間では債務弁済の責任を負うことに注意が必要です(会社法第612条)。

 

株式会社と比較すると、持分会社は幅広い定款自治が可能という利点があります。他方で、社員の地位の変動について異なる規律が多いため、注意が必要です。持分会社の運用についてお悩みの際は、弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。→https://www.aster-law.net/reservation/

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