企業法務トピックス
2020/02/25 企業法務トピックス 持分会社
持分会社における業務執行
実際に、持分会社ではどのように業務執行がなされていくのでしょうか。また、業務執行を行う社員はどのような責任を負うのでしょうか。今回は、持分会社の業務執行についてご説明します。
1 業務執行をする社員と執行方法
⑴ 持分会社では、定款に特に定めがない会社では各社員が業務執行権を有し(会社法590条1項)、業務執行社員を定款で定めた会社では当該社員が業務執行権を有します(法591条1項)。
業務執行権を有する社員が複数人いる会社では、業務執行の決定方法を定款で定めている場合はその定めにより、定めがない場合は当該社員の過半数をもって業務執行を決定します(法590条2項、591条1項)。
したがって、実際の業務執行をどのようにするかを考える場合には、①業務執行社員を限定するか、②業務執行社員を複数設置する場合はどのような方法で決定するかを十分に検討し、機関設計することが必要となります。
なお、持分会社の「常務」については、業務執行社員(定款の定めがない場合は社員全員。以下同じ。)が単独で行うことができます。しかし、完了前に他の業務執行社員が異議を述べた場合は、単独で決定することはできません(法590条3項、591条2項)。
⑵ 業務執行社員ではない社員は、業務及び財産の状況について調査することができます(法592条1項)。この調査権は、定款に別段の定めをすることができますが、事業年度の終了時や、重要な事由があるときの調査については制限できません。
⑶ 通常は、業務執行社員が持分会社の代表権を有しますが、定款において、①業務執行社員中代表権を有する者を定めたり、②代表者を決する方法を定めたりしている場合は、これらの内容によります(法599条1項)。
代表権は、持分会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限であり(同条4項)、会社がその権限に制限を加えている場合は、善意の第三者に対抗することはできません(同条5項)。また、代表者の職務執行上の第三者に対する損害賠償責任(法600条)も負います。これらは、株式会社における代表取締役と同様の取扱いとなっています。
2 業務執行社員の辞任・解任
定款で業務執行社員を定める会社では、定款に特段の定めがない場合は、業務執行社員は正当な事由がなければ辞任することができません(法591条4項)。業務執行社員に簡単に辞任されてしまっては会社の業務執行に影響が出るためです。
また、正当な事由がある場合か、社員全員の一致がなければ、業務執行社員を解任することもできません(同条5項)。
3 業務執行社員の責任
⑴ 持分会社の業務執行社員も、株式会社の取締役と同様、会社に対して善管注意義務、忠実義務、報告義務を負います(法593条1項ないし3項)。このほか、業務執行社員と会社との関係は、民法の委任の規定が準用されます(同条4項)。
⑵ また、持分会社においても、業務執行社員の競業禁止や利益相反取引について定められています。
まず、競業取引や同種事業を目的とする他の会社の役員等になるには、他の社員全員の承認を受けるか、あらかじめ定款で許容されていなければなりません(競業の禁止、法594条1項)。
利益相反取引については、定款の特別の定めがない限り、他の社員の過半数の承認を受ける必要があります(法595条1項)。
⑶ 業務執行社員の任務懈怠により会社に損害が生じた場合には、業務執行社員らが連帯して会社に対して損害賠償責任を負います(法596条)。
また、当該社員が職務を行うについて悪意又は重大な過失があり、第三者に対して損害を生じさせた場合には、第三者に対して損害賠償責任を負います(法597条)。
これらは、株式会社の取締役の責任と同様です(会社に対する責任(法423条)、第三者に対する責任(法429条))。
持分会社における業務執行の方法や、業務執行社員の責任について、ご不明なことがございましたら、弁護士法人アステル法律事務所にご相談ください。
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