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2020/04/25   その他   企業法務トピックス  

雇用調整助成金の概要


*)本記事は、2020年4月17日時点の情報に基づいて作成されています。

1. 制度の意義

雇用調整助成金とは、経済上の理由により急激な事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等を行い労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当等に要した費用を助成する制度です。
一般に、不況等のために労働者について雇用調整が必要となる場合、その方法としては、残業の制限、休業、解雇等が考えられます。このうち、人件費削減効果が高いのは解雇ですが、解雇される労働者の生活が不安定になる、解雇されない労働者の士気が下がる、景気回復後に人材確保が困難となる、採用・教育に時間・費用コストを要する等、デメリットも多くあります。経済的に可能であれば、雇用の維持は事業主・労働者双方にとって利益といえます。
そこで、事業主が、雇用を維持するため、労働者を休業させ、または教育訓練を受けさせる場合に、その費用の一部について援助する制度が設けられました。
今回の新型コロナウイルス感染症流行に伴い、要件緩和及び助成内容拡充の特例措置がとられています。制度概観は以下のとおりです。

2. 主な支給要件

本制度については、手続上のものも含め、要件が細かく定められています。
また、新型コロナウイルス感染症にかかる特例措置として、状況の変化に伴い、頻繁に要件が緩和されています。以下では、制度の概要を理解するための主要な要件をご紹介します。申請にあたっては、厚労省ホームページ等で、最新の情報をご確認ください。

①事業主に関する要件

ⓐ事業主が、雇用保険適用事業所であること
ⓑ新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高・生産高等が前年同月比で5%以上減少していること
ⓒ不正受給、労働保険料滞納、労働関係法令違反、倒産等、不支給要件に該当していないこと

②労働者に関する要件

ⓐ解雇を予告された者、退職願を提出した者、事業主からの退職勧奨に応じた者等は、対象になりません。
ⓑ日雇労働者も対象になりません。

③休業等の雇用調整に関する要件

ⓐ労使間の事前の協定に基づいて実施すること
ⓑ雇用調整の内容が、以下のいずれかであること
ⅰ)休業
労働者が、事業所において所定労働日に労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、当該所定労働日の全一日にわたり労働することができない状態をいいます。
ⅱ)教育訓練
職業に関する知識、技能又は技術を習得させ、又は向上させることを目的とする教育、訓練、講習等であって、所定労働日の所定労働時間内において実施されるものをいいます。
新人研修・管理職研修等通常も行っている研修、労働安全衛生法上の研修、過去に行った研修等、対象にならない研修がありますので、注意が必要です。
ⅲ)出向
・労働者が出向元事業所の従業員たる地位を保有しつつ、出向先事務所において勤務すること
・将来出向元事業所に復帰することその他の人事上のつながりを持ちながら、一旦出向元事業所を退職して出向先事業所において勤務すること
をいいます。
ただし、資本的・経済的・組織的関連性等からみて独立性を認められない事業主間の出向は、本助成金の支給対象にはなりません。また、人事交流・経営戦略・業務提携・実習のために行われるものや、出向労働者を交換し合うものも対象になりません。出向元事務所が他の事業主から本助成金の支給対象となる出向労働者を受け入れていたり、出向先事務所が本助成金の支給対象となる出向を行っていたりする場合も、対象とならないことがあります。
ⓒ休業等規模要件を満たすこと
ⓓ事業主が支払う休業手当の額が、労働基準法第26条に違反していないこと

3. 助成内容

1) 助成額
助成額は、雇用調整の内容によって異なります。
ア. 休業の場合
[ 休業手当相当額×助成率 ]が助成額になります。
まず、休業手当相当額は、前年度1年間の賃金総額や年間所定労働日数を基に計算されます。労使間で協議がある場合、当該金額が基準になります。
次に、助成率は、中小企業については「4/5」、大企業については「2/3」です。ただし、解雇等を行わない場合には、中小企業について「9/10」、大企業について「3/4」に引き上げられます。
ただし、1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額(本年3月1日では8330円)が上限となります。
イ. 教育訓練の場合
[ 賃金相当額×助成率+教育訓練加算額 ]が助成額になります。
賃金相当額は休業手当相当額と同様に算出します。助成率は休業の場合と同じです。
ただし、1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額(本年3月1日では8330円)が上限となります。
教育訓練加算額は、中小企業については2400円、大企業については1800円です。
ウ. 出向の場合
[ ( 出向労働者の賃金について出向元事業主が負担した額 )または( 出向前の通常賃金の1/2の額 )のいずれか低い方×助成率 ]が助成額になります。
ただし、1人1日あたり雇用保険基本手当日額の最高額(本年3月1日では8330円)が上限となります。

 

2) 支給限度日数
労働者1人当たり、1年間で100日分、3年間で150日分が上限となります。
新型コロナウイルス感染症特例措置では、通常の雇用調整助成金の支給を受けた日数とは別枠で、支給限度日数がカウントされます。
支給日数の計算は、事業所の対象労働者の休業等の延べ日数を、対象労働者の人数で割って算出します。例えば、対象労働者が10人で、そのうち6人が5日ずつ休業した場合の支給日数は、「3日」になります(5日×6人÷10人)。

4. 受給手続きの流れ

基本的な手続きの流れは上記のとおりです。
ただし、新型コロナウイルス感染症特例措置として、計画届の提出を休業の実施後とすることも認められています。

本助成金の申請に関して、手続代行業者に高額なコンサル料を支払ったものの、厚労省の資料を提供するだけだった、行政窓口を紹介されるだけだった、対応が遅く自ら手続せざるを得なかったといったケースが報告されていますので、ご注意ください。

 

 

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