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2021/10/27 新法・法改正・判例紹介トピックス 法改正
相続財産管理に関する新しい手続
1.改正法施行前の制度
1)改正前の相続財産管理制度
改正前は、相続人が判明している場合について、①熟慮期間中(改正前民法918条2項)、②限定承認がされた後(改正前民法926条2項)、③相続放棄後、次順位者が相続財産の管理を始めるまで(改正前民法940条2項)の各段階で、相続財産を保存するための相続財産管理制度がありました。また、④限定承認後については、裁判所が職権により、相続財産管理人を選任し、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為を行うといういわゆる清算型の相続財産管理制度がありました(改正前民法936条)。
2)改正前に存在しなかった相続財産管理制度
しかし、⑤相続人が判明している場合に、単純承認後から遺産分割前までは相続財産を保存するための相続財産管理制度はありませんでした。
また、⑥相続人が判明していない場合には、相続財産を保存するための相続財産管理制度も、清算型の相続財産管理制度もありませんでした。
2.改正法施行後の制度
改正後においては、上記①乃至④のみならず、上記⑤⑥の場合についても、統一的に、相続財産の保存を目的とした相続財産管理制度を設けることとされました。
1)改正法の条文
新設 |
民法897条の2 1 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第952条第1項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。 2 第27条から第29条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。 |
2)新設内容
家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求により、いつでも、相続財産管理人を選任し、相続財産の保存を命ずることができます(改正後民法897条の2第1項)。なお、相続財産管理人選任にあたって、管理人を選任する必要性が要件となりますが、相続人が保存行為をせず、または、相続人が判明しないために相続財産の保存行為を行うことができない場合に、必要性の要件を充足すると解されています。
また、この相続財産管理人の権限等については、不在者財産管理人に関する規定(民法27条から同29条)が準用されます。相続財産管理人は、原則として、相続財産の保存行為、利用行為、改良行為を行うことができ、例外的に、家庭裁判所の許可が出れば、相続財産を処分することもできます。
以上のような新たな相続財産管理制度を通じて、遺産共有状態にある場合に、相続財産の管理がなされずに放置されることの解消が期待されています。
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