労働法トピックス
2022/01/13 休業~産休・育休を中心に~ 労働法トピックス
育児休業
1 育児休業
⑴ 原則満1歳に達するまで(最長2歳まで)
1歳未満の子を養育する労働者は、子が満1歳に達するまでの期間、育児休業を取得することができます。この育児休業の取得は、労働者の男女を問いません。また、この育児休業は、1歳の時点で保育園への入所ができないなどの特別の事情がある場合には、1歳6か月まで取得することができ、その後もさらに特別の事情が継続する場合には、2歳まで取得することができることとされています(平成29年改正)。
保育園への入所ができないこと以外の特別の事情は次のとおりです。
・1歳到達後に養育を行う予定であった配偶者が、死亡した。
・1歳到達後に養育を行う予定であった配偶者が、負傷・疾病・身体上精神上の障害により
子の養育が困難となった。
・1歳到達後に養育を行う予定であった配偶者と、婚姻解消により別居した。
⑵ 夫婦とも取得する場合は満1歳2か月まで(パパ・ママ育休プラス)
平成21年改正により、父と母がともに育児休業を取得する場合は、1歳2か月までの間、育児休業を取得することができるようになりました(「パパ・ママ育休プラス」といわれます。)。これにより、例えば、子が1歳になるまでの一定期間は母親が育児休業を取得し、その後1歳2か月になるまでは父親が育児休業を取得するなどの方法も可能になりました。
⑶ 有期雇用労働者について(令和3年改正)
有期雇用労働者の育休については、令和3年に育児介護休業法の改正がありました。
改正前は、申し出の時点で1年の継続雇用期間があることが要件とされていました。
改正後は、その子が1歳6か月になるまでに5年の確定的な契約終了日が到来しない以上は、雇用されたばかりの有期雇用労働者であっても、育休を申し出ることができるようになりました。
もっとも、継続雇用期間が1年未満の労働者等一定の労働者については、企業側は、事業所の過半数労働組合(ないときは過半数代表者)との労使協定を定めることにより、育児休業の対象から除外することができるとされています。
⑷ 申し出は2回に分割可能(令和3年改正)
育休は、令和3年の改正前には、それぞれの子について原則1回のみの申し出とされ、連続した1つの期間で取得することとされていました。しかし、令和3年改正で、分割して2回まで取得できることとされました。
特段の事情がある場合には、一旦所定の回数の育休を終えていても、申し出が可能となっています。特段の事情の例は次のとおりです。
例)・配偶者が死亡した
・配偶者が負傷・疾病・身体上精神上の障害により子の養育が困難となった
・配偶者が子と同居しなくなった
・子の負傷・疾病・身体上精神上の障害により2週間以上の世話が必要となった
・保育所等への保育の申込をしたが当面実施されない
また、育休の開始日についても、当初1歳又は1歳半の各初日に限定されていたところ、期間途中に夫婦交替することができるよう、開始日が柔軟になりました。
⑸ 賃金支払義務なし
育児休業の期間中も、産前産後休業の期間と同様、法律上、事業主の賃金支払義務はありません。ただし、雇用保険から、休業開始後6か月間は休業開始前の賃金の67%が、それ以降は50%が「育児休業給付金」として支給されます。
⑹ 不利益取扱いの禁止
育児休業取得後、育児休業取得者に対して、元の職務に復帰させることまでは、法律上義務付けられてはいません。ですので、育児休業終了時の業務上の必要性から、休業前の職務と異なる職務に復帰させたとしても法律上問題はありません。
もっとも、育児介護休業法は、企業側に育児休業の取得を理由として、解雇その他の不利益取り扱いをすることを禁止していますから、業務上の必要性など他の正当な理由がなく育児休業を取得したこと自体を理由としてなされた配置転換は、違法であり無効とされます。
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