アステル法律事務所 熊本・東京の弁護士法人アステル法律事務所

新規予約専用0120-94-7455
事務所番号 熊本本社
096-352-0001
八代オフィス
0965-39-5368

受付時間/平日9:00〜17:00

topicsトピックス

労働法トピックス

2022/09/14   休日・有給   労働法トピックス  

年次有給休暇

1 年次有給休暇とは

 

使用者は、雇入れの日から起算して6か月継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければなりません(労基法39条1項)。この年次有給休暇(以下「年休」といいます。)の権利は、要件を満たすことで法律上当然に生じるものです。

(1)年休権発生の要件

 ①「6か月継続勤務」

起算点は、当該労働者の雇入れの日となります。「継続勤務」とは、労働契約が存続していることを指し、契約の形式ではなく実質で判断されます。例えば、定年退職者を嘱託として再雇用した場合において、形式的には労働契約が変更されていますが、実質的には勤務が継続していますので、ここでいう「継続勤務」に該当することになります。なお、実際の出勤は求められていませんので、休職していても継続勤務性は肯定されると解されています。

 ②「全労働日の8割以上出勤」

全労働日とは、労働者が労働契約上労働義務を課されている日数と解されています(最三小判平成4年2月18日労判609号12頁)。また、労働者が業務上負傷し、又は疾病の療養のために休業した期間、産前産後の休業期間、育児・介護休業法上の育児・介護休業期間は、出勤したものとみなされます(労基法39条10項)。

 ③日数

週の所定労働時間が5日以上または週の所定労働時間が30時間以上の労働者の年休は、以下のとおり勤続年数により付与日数が加算されます(労基法39条2項)。

勤続年数

6か月

1年6か月

2年6か月

3年6か月

4年6か月

5年6か月

6年6か月

付与日数

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

また、所定労働日数が少ない労働者に対しては、以下のとおりの付与日数となります(労基法39条3項)。

週所定労働日数

年間の所定労働日数

継続勤務期間

6か月

1年6か月

2年6か月

3年6か月

4年6か月

5年6か月

6年6か月以上

4日

169日~

216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

14日

3日

121日~

168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

73日~

120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48日~

72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

2 労働者の時季指定権と使用者の時季変更権

(1)労働者の時季指定権

労働者は、年休の取得時季を指定する権利を有しており、年休をいつ取得するかについては、原則として労働者が自由に決めることができます(労基法39条5項本文)。これを時季指定権といいます。

(2)使用者の時季変更権

他方で、使用者は、労働者の請求した時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季にこれを与えることができます(労基法39条5項ただし書)。これを時季変更権といいます。

「事業の正常な運営を妨げる」に該当するか否かは、①当該労働者が属する課・班・係など相当な単位の業務において必要人員を欠くなど業務上の支障が生じるおそれがあることに加えて、②人員配置の適切さや代替要員確保の努力など労働者が指定した時季に年休が取得できるよう使用者が状況に応じた配慮を行っていることを考慮して判断されます(最判平成4年6月23日民集46巻4号306頁)。使用者は、単に忙しいからという理由で、自由に時季変更権を行使できるものではないことに注意が必要です。

 

3 計画年休

 

使用者は、事業場の過半数労働組合又は過半数労働者を代表する者との間で労使協定を締結した場合は、年休のうち5日を超える部分については労使協定で定めた日に有給休暇を与えることができます(労基法39条6項)。これを計画年休といいます。計画年休における年休の時季の定め方は、基本的に労使協定に委ねられており、①事業場全体での一斉休暇、②班別の交替休暇、③年休付与計画表に基づく個人別休暇など様々です。

 

4 使用者の年休付与義務

 

使用者は、年休の付与日数が10日以上である労働者に対し、年休のうち5日については、基準日から1年以内の期間に労働者ごとにその時季を指定することにより与える義務があります(労基法39条7項本文)。これは、年休取得を促進する目的で、平成30年働き方改革関連法による労基法改正によって導入された制度です。

この年休付与義務の対象となる労働者は、労基法上10労働日以上の年休権が与えられている労働者です。管理監督者や有期雇用労働者も対象となる点に注意が必要です。

 労働者の時季指定権の行使又は計画年休制度により年休が付与された場合には、その日数分(5日を超える場合には5日)については、使用者の時季指定により与えることは必要ではありません(労基法39条8項)。すなわち、使用者の年休付与義務の対象から差し引いてよいことになります。

年休付与義務は、使用者が年休の時季を指定するだけでなく、実際に年休を取得させることを求める義務です。この義務に反した場合には、30万円以下の罰金に処されます(労基法120条1号)ので、十分注意してください。

 

5 年休権の消滅

 

 未消化年休は、2年で消滅し(労基法115条)、実務上1年に限り繰り越しが認められると解されています。

 また、労働者に金銭を支払うことで年休を与えたこととする「年休の事前買い上げ」や年休の消滅時効時に金銭を支払うことをあらかじめ約定する「年休の買い上げの予約」は、年休を与えなければならないと規定することで現実の休暇を取得させる、労基法39条の趣旨に照らし、無効と解されています。

 

 

使用者にとって、年休についての正しい理解は必要不可欠です。

ご不安な点等ございましたら、弁護士法人アステル法律事務所にお気軽にご相談ください。

Contact usお問い合わせ・法律相談のご予約

法的な問題でお困りの方は
まずは弁護士法人アステル法律事務所へご相談ください!

tel.0120-94くよくよ-74なし55GO! GO!

tel.0120-94-7455くよくよなしGO! GO!

受付時間/平日9:00〜17:00

PAGE TOP