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2023/08/22 免責手続と非免責債権 破産トピックス
非免責債権とは
自己破産の手続きが、財産を換価して借金を清算する「破産手続」と残ってしまった借金を免除してもらうための「免責手続」という2つの手続からなることについては、こちらの記事でお話ししたとおりです。
では、借金その他の債務(支払わなくてはならないもののことを「債務」といいます。請求する人からみたときには「債権」といいます。)は、どのようなものでも免除(免責)してもらえるのでしょうか。
1 非免責債権とは
債務の中には、そもそも免責手続で最終的に免責決定をもらったとしても、その効果が及ばずに支払義務が残ってしまうものが存在します。これを「非免責債権」といいます。
どのようなものが、非免責債権として残ってしまうのかについては、法律の定めがあり、次のものが挙げられています(法253条1項各号)。
①租税等の請求権
②悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
③故意又は重過失による人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
④養育費や婚姻費用など一定の親族間の義務
⑤雇用関係に基づく使用人の請求権等
⑥知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
⑦罰金等の請求権
以下、いくつかのものを補足で説明します。
2 租税等の請求権について(上記①)
税金や税金同様に徴収されるような公的機関に対する支払義務は、免除されません。ただ、公的機関に対する支払いの中でも、免除されるものもあり、免除されるかどうかについては個別に法律を確認する必要があります。
3 損害賠償請求権について(上記②及び③)
上記②の「悪意」というのは、積極的に他人を害そうとすることを指しており、例えば、詐欺等によって他の人のお金をだましとったような場合には、その行為に基づく損害賠償責任を免れることはできません。
また、上記③の「故意又は重過失」というのは、わざと、又はそれと同視できるくらいの落ち度のことを指しており、例えば、飲酒運転や赤信号無視等で交通事故を起こして人を傷つけてしまったような場合には、被害者に対する損害賠償責任を免れられないおそれがあります。
4 知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(上記⑥)
時折、一度自己破産手続をとって免責決定までもらったのに、その後、債権者一覧表に記載していなかった債務があったことが判明して請求を受けてしまうということが問題になることがあります。そのような場合には、再度自己破産手続をとる必要が生じますが、このとき問題になるのが上記⑥です。
上記⑥の「知りながら」というのは、前の手続のときにわざと申告しなかったもののほか、過失で(落ち度があって)申告していなかったものも含まれるとされています(東京地裁平成11年8月25日判決)。
このため、再度手続をとるときには、申告していなかったことに落ち度はなかったということを主張する必要があります。もっとも、その債務について、請求をしてきている債権者が前の手続のことを知っていたような場合には、前の破産の免責決定の効力を及ぼすこともできますので、この点も確認する必要があるでしょう。
以上のように、借金その他の債務の中には、免除してもらえないものもあり、免除してもらえるかどうかの判断や、免除してもらうための主張の仕方については、専門的な知識が必要となる場合があります。
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