労働法トピックス
2024/08/16 セクハラ・パワハラ問題 労働法トピックス
セクシャルハラスメント
1 はじめに
パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメントといった職場におけるハラスメントに関しては、令和2年6月1日に、パワーハラスメントに関する改正労働施策総合促進法が施行されたことを機に、厚労省によって告示された関係指針に従った対応が求められています。
企業内でのトラブルとしては、①ハラスメント行為による被害者側労働者から、職場環境配慮義務違反による損害賠償請求がなされる場合が典型ですが、②ハラスメント行為を行っていたと疑われ、懲戒等の処分を受けた労働者から当該懲戒等の有効性を争われる場合もあります。
パワーハラスメント、マタニティハラスメント(リンク)については、別記事でそれぞれの解説をしているのでそちらをご覧ください。
2 セクシャルハラスメントとは
セクシャルハラスメント(以下「セクハラ」といいます。)は、相手方の意に反する性的言動(性的な内容の発言や性的な行動)をいい、このような性的言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受ける「対価型」と、当該性的な言動により就業環境が害される「環境型」とがあります。
対価型の典型例は、性的な関係を要求したが拒否されたので解雇したような事例、環境型の典型例は、腰や胸などを度々触られて就業意欲が低下しているような事例です。
3 義務化される防止措置
セクハラ防止に関しては、男女雇用機会均等法11条において、性的な言動に対する対応により労働者が労働条件において不利益を受けたり、就業環境が害されたりすることがないよう、事業主に雇用管理上必要な措置を講じる義務が定められています。
これを受けた厚労省の指針では、セクハラを防止するために講ずべき措置を示しています。事業主が講じなければならない具体的な措置は次のとおりです。
事業主の方針等の明確化及び周知・啓発 |
① 職場におけるセクハラの内容、セクハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること ② 行為者について厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること |
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備 |
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること ④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること |
職場におけるセクハラに関する事後の迅速かつ適切な対応 |
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること ⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと ⑦ 行為者に対する措置を適正に行うこと ⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も含む) |
合わせて講ずべき措置 |
⑨ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること ⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること |
4 企業の責任
ハラスメント行為に基づく被害について、企業が「注意義務に違反した」と評価される場合には、企業に責任が生じることになります。ハラスメントは、企業内での業務に関連して行われるものであるため、ハラスメントに該当するかどうかの判断が難しいケースもあります。そのため、一般的には、「企業がどのような注意を払うべきだったか」「企業が講じるべき措置はどのようなものだったか」を検討した上で、当該注意が払えなかったことや措置が取れなかったことが、通常の経営者として仕方がないことなのかどうか、という側面から責任が判断されることになります。
しかし、上記のような法律により義務化された内容が順守出来ていない場合や、指針に具体的に示されている内容について実施できなかったことは、基本的に通常講じるべき措置が講じられていなかったと評価されることになります。したがって、上記の防止措置義務化については、経営者としてはきちんとした準備が必要です。
裁判例においても、セクハラ行為の発生を予見できたにもかかわらず十分な予防措置をとらなかった場合,セクハラ加害者である上司からの報告を信じてセクハラの存否等に関する十分な調査をせず,その結果セクハラ被害者をセクハラ加害者の下で継続して勤務させていた場合などの事案で,会社の安全配慮義務違反(職場環境配慮義務違反)が認定されています。
5 アステル法律事務所がご提供する顧問サービス
アステル法律事務所の顧問サービスは、紛争等が生じた有事に対応するだけでなく、平時のサポートにも力を入れています。
例えば、事務所での来所相談だけでなく、電話・メール・WEBによる相談をご利用いただけます。また、プランによっては、「就業規則簡易チェック」により、既存の就業規則が紛争対応のために有用なものとなっているかどうかをチェックさせていただきますし(上記防止措置②)、ハラスメント等の「ホットライン窓口」(同③➃)としてご利用いただくことも可能です。
もちろん、顧問サービス以外のスポットでのご利用も可能です。
セクシャルハラスメントが生じた場合の対応や、ハラスメント防止措置などに悩まれた際は、お気軽にアステル法律事務所にご相談ください。
以上
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