企業法務トピックス
2017/03/27 企業法務トピックス 新法 新法・法改正・判例紹介トピックス 新法・法改正・新判例紹介
【新法紹介】景品表示法課徴金制度
景品表示法の改正により,平成28年4月1日から課徴金制度が導入されました。この課徴金制度とは,事業者が行った優良誤認表示及び有利誤認表示に対し,課徴金対象期間における対象行為に係る商品等の売上額の3%の課徴金を課すというものです。
この課徴金制度には,課徴金額が150万円未満であるときは課徴金を課さないとする規模基準や,事業者が課徴金対象行為を自ら消費者庁に報告したときは課徴金額の50%を減額するという自主申告による課徴金減額制度があります。また,事業者が一般消費者に対し所定の自主返金を行った時は,課徴金を減額等するという制度もあります。
ただ,事業者にとって,課徴金を課されるか否かの重要なポイントとなるのは,事業者が課徴金対象行為をした期間を通じて,自ら行った表示が不当表示であることを知らず,かつ,知らないことについて相当の注意を怠った者でないと認められるときは課徴金を課さないという,事業者の主観的要素が要件となっていることです。この主観的要素において,「相当の注意を怠った者でないと認められる」か否かの判断基準は,事業者にとって最も注意すべき点になります。
消費者庁は,「当該事業者が課徴金対象行為に係る表示をする際に,当該表示の根拠となる情報を確認するなど,正常な商慣習に照らし必要とされる注意をしていたか否かにより,個別事案毎に判断されることになる。」と説明しています。さらに消費者庁は,「この『確認』がなされたといえるかどうかは,表示等の内容,その検証の容易性,当該事業者が払った注意の内容・方法等によって個別具体的に判断されることになる。」と説明しています。
消費者庁の想定例によると,以下のような場合には,「相当の注意を怠った者でないと認められる」とされ,課徴金は課されません。
【想定例1】
(虚偽表示)
シャツ製造業者Aが自社従来製品の10倍の通気性があると表示していたが,それが虚偽であった場合
(業者の行為)
表示を行う際に信頼できる検査機関に通気性試験を依頼し,10倍の通気性であるとの試験結果報告を受けていたが,再試験により誤りであったことが分かり速やかに表示をやめた場合。
【想定例2】
(虚偽表示)
小売業者Bが仕入れた鶏肉を用いておにぎりを製造し,「国産鶏肉使用」と表示していたが,その鶏肉が外国産であった場合
(業者の行為)
卸売業者交付の証明書に「国産鶏」と記載されていたが,虚偽の事実が判明して速やかに表示をやめた場合
【想定例3】
(虚偽表示)
ドラッグストア業者Cが「アセロラ由来のビタミンC含有」と表示して健康食品を販売していたが,実際には化学合成により製造されたビタミンCを含有するものであった場合
(業者の行為)
卸売業者から仕入れた当該健康食品のパッケージに「アセロラ由来のビタミンC含有」と記載されていたが,虚偽の事実が判明して速やかに表示をやめた場合
【想定例4】
(虚偽表示)
小売業者Dが,テレビショッピング番組で「カシミヤ80%」の布団と表示して販売していたが,実際にはカシミヤは原材料に用いられていなかった場合
(業者の行為)
布団の製造業者から,カシミヤ80%を含んでいる旨の検査結果報告の提出を受けていたが,全商品の抜き打ち検査により虚偽が判明し,速やかに表示をやめた場合
この想定例からも分かるとおり,表示をするにあたって,その表示の正確性の確認に注意を払う必要があります。さらには,そのような注意を払っていた場合であっても,その表示が虚偽であることが判明した場合,速やかに表示行為をやめなければ,課徴金を課されることになりますので,注意が必要です。
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